製造業向けHACCP導入の基本から危害要因分析と記録管理までを解説
2021年6月から、すべての食品等事業者に対してHACCPに沿った衛生管理が義務化されました。しかし、とくに複雑な製造プロセスを持つ食品製造業では、「何から始めればよいかわからない」「書類を作っても形だけになってしまう」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
HACCPの導入を確実に進めるためには、基本的な考え方を理解したうえで、チーム編成から危害要因分析、記録管理までを体系的に進めることが欠かせません。ここでは、製造業がHACCP導入に取り組む際に押さえておくべきポイントを、具体的な手順とあわせてわかりやすく解説していきます。
製造業においてHACCP導入が求められる理由と基本の考え方
2021年6月から、原則としてすべての食品等事業者に対してHACCPに沿った衛生管理が義務化されました。とくに複雑な製造プロセスを持つ食品工場では、従来の衛生管理手法では対応しきれないリスクが存在するため、HACCPの導入が強く求められています。
◇従来の衛生管理との違い
これまで食品製造の現場では、抜き取り検査(モニタリング検査)による衛生管理が一般的でした。しかし、この方法では検査対象となった製品しか確認できず、問題のある製品が市場に出回るリスクを完全に排除することはできません。
HACCPでは、原材料の入荷から製品の出荷に至るまでのすべての工程において、食中毒菌による汚染や異物混入などの危害要因(ハザード)を科学的根拠に基づいて分析します。そのうえで、とくに大切な工程を「重要管理点(CCP)」として設定し、継続的に監視と記録を行うことで製品の安全性を確保します。
◇HACCP導入が製造業に求められる背景
食品製造業においてHACCP導入が必要とされる理由は、おもに以下の点にあります。
消費者ニーズと社会的要請への対応
食品の安全性に対する消費者の関心は年々高まっています。高齢化社会の進展に伴い、食中毒リスクへの対策強化も社会的な課題となっています。
国際標準への適合
HACCPは国際的な食品衛生管理の標準として広く認知されています。海外への販路拡大や取引先からの要求に応えるためにも、HACCP対応は避けて通れません。
製造工程の可視化と改善
HACCPを導入すると製造工程全体が可視化され、どの段階にリスクがあるのかが明確になります。問題発生時の原因追及が容易になるだけでなく、日常的な業務改善にもつながるでしょう。
◇HACCPがもたらす効果
農林水産省の調査によると、HACCP導入による効果として「品質と安全性の向上」「従業員の意識の向上」「企業の信用度やイメージの向上」「クレームの減少」などが挙げられています。衛生管理を体系的に行うことで、法令遵守にとどまらず事業全体の競争力強化につながる点がHACCPの特徴です。
HACCPチームの編成から危害要因分析までの進め方
HACCPを効果的に導入するためには、まず社内でHACCPチームを編成し、製品や製造工程に関する情報を整理したうえで危害要因分析(ハザード分析)を行う必要があります。
◇HACCPチーム編成のポイント
HACCPチームは、製品に関する情報を収集して分析できる体制を整えるために編成します。製造部門だけでなく、品質管理や原材料調達、設備管理など関連する各部門から業務に精通した人材を選定することが大切です。
チームメンバーの選定基準
製造工程を熟知している現場担当者、衛生管理の知識を持つ品質管理担当者、原材料の特性を理解している調達担当者などをバランスよく配置します。必要に応じて、社外の専門家やコンサルタントの協力を得ることも検討してください。
チームの役割
チームは製品説明書や製造工程図の作成、危害要因の洗い出しなど、HACCP導入に必要な作業を担います。定期的なミーティングで情報共有を図り、全員が同じ認識を持って取り組める環境を整えましょう。
◇危害要因分析の具体的な手順
危害要因分析は、HACCPの7原則12手順のうち「手順6(原則1)」に位置づけられるプロセスです。製品に起こりうる危害要因をすべて洗い出し、そのリスクを評価します。
製品説明書と製造工程図の作成
分析を始める前に、製品の原材料や特性、保存方法、消費期限などを記載した製品説明書を作成します。あわせて、原材料の受け入れから出荷までの工程を図式化した製造工程図を作成し、現場で実際の作業と照合して正確性を確認してください。
危害要因の洗い出しと評価
各工程で発生しうる危害要因を、生物学的(病原微生物など)、化学的(残留農薬や洗剤など)、物理的(金属片やガラス片など)の3つに分類して洗い出します。危害要因ごとに「発生しやすさ」と「健康被害の重大性」を評価し、重点的に管理すべきかを判断しましょう。
HACCPの確実な運用と記録管理を実現するためのポイント
HACCPシステムを構築しても、日々の運用と記録管理が適切に行われなければ、その効果を十分に発揮できません。記録はHACCPを実施した証拠となるだけでなく、問題発生時の原因追及や改善活動の基礎資料としても大切です。
◇記録が必要な項目と保存のルール
HACCPの運用において記録すべき項目は多岐にわたります。適切に記録を残し、定められた期間保存することで、トレーサビリティの確保や監査対応にも役立ちます。
主な記録項目
重要管理点(CCP)のモニタリング結果は必ず記録します。加熱工程であれば温度と時間、冷却工程であれば冷蔵庫の温度などが該当します。是正措置の実施記録や検証活動の結果、従業員の教育訓練記録なども保存が必要です。
保存期間の設定
保存期間は、製品の消費期限や賞味期限を考慮して設定します。紙媒体であれば劣化を防ぐ保管場所の確保、電子データであればバックアップ体制の整備も必要です。
◇記録作業を形骸化させないための工夫
記録作業が単なる「書くだけの作業」になると、HACCPの本来の目的を果たせません。現場の負担を軽減しながら、実効性のある記録管理を実現する工夫が欠かせません。
記録様式の最適化
記録様式は、現場で使いやすい形式に整えることが大切です。記入項目が多すぎたり複雑すぎたりすると、記録の抜けや誤りが発生しやすくなります。
定期的な振り返りの実施
記録は残すだけでなく、定期的に振り返ることで活きた情報となります。月単位などで見直し、管理基準の逸脱がなかったか確認しましょう。
◇継続的な改善につなげる運用体制
HACCPは構築して終わりではなく、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善することが求められます。記録を分析して課題を抽出し、衛生管理計画や手順書に反映させましょう。現場の従業員が主体的に取り組める環境づくりが、HACCP成功の決め手となります。
製造業のHACCP導入は基本の理解と専門家への相談が成功への近道
HACCPの導入を成功させるためには、まず基本的な考え方を正しく理解することが大切です。そのうえで、HACCPチームの編成や危害要因分析、重要管理点の設定、継続的な記録管理までを一貫して進める必要があります。とくに複雑な製造プロセスを持つ食品工場では、各工程に潜むリスクを漏れなく洗い出し、現場で無理なく運用できる仕組みを構築することが大切です。しかし、これらの作業を自社だけで進めようとすると、どこから手をつければよいかわからない、書類作成に時間がかかるといった課題に直面することも少なくありません。
グリーン フード コンサルでは、公務員として33年間にわたり3万件以上の食品関係施設を見てきた経験を活かし、HACCPの構築から運用までを伴走型で支援しています。食品加工メーカーでの品質管理部長としての実務経験もあり、現場目線でのアドバイスが可能です。衛生管理計画の作成や記録の見直し、従業員教育まで幅広く対応していますので、HACCP導入でお悩みの方はお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。
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