HACCP対応の衛生管理計画書の作り方から継続運用まで徹底解説

衛生管理計画書とHACCPの違いを理解して継続的な運用につなげる方法

2021年6月から、すべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務化されました。手引書を参考に衛生管理計画書を作成したものの、「管理の違いがよくわからない」「計画書が形骸化してしまっている」といった悩みを抱えている担当者も多いのではないでしょうか。HACCPの概念は知っていても、それを具体的な計画書として書類に落とし込み、継続的に運用していくことは簡単ではありません。

ここでは、一般衛生管理とHACCPに基づく管理の違いや、7原則12手順の計画書への反映方法を解説します。計画書を形骸化させずに継続的に見直していくためのポイントもお伝えしていきます。

一般衛生管理とHACCPに基づく管理の違いを理解する

一般衛生管理とHACCPに基づく管理の違いを理解する

HACCPに沿った衛生管理を衛生管理計画書に落とし込む際、多くの担当者が最初につまずくのが「一般衛生管理」と「HACCP(重要管理)」の区別です。この2つの違いを正しく理解することが、実効性のある計画書作成の出発点となります。

◇一般衛生管理とは

一般衛生管理とは、どのような食品を扱う場合でも共通して実施すべき基本的な衛生管理のことです。原材料の受入確認や冷蔵庫と冷凍庫の温度管理、器具類の洗浄と消毒、従業員の健康チェック、手洗いの徹底などが該当します。これらはHACCPを効果的に機能させるための前提条件として位置づけられています。

◇HACCPとは

食品ごとの製造や調理工程において、健康被害を引き起こす危害要因を除去または低減するためにとくに注意すべきポイントを管理するものです。飲食店の場合、メニューを調理工程の温度変化に着目して3つのグループに分類し、それぞれに応じた対応を行います。

◇メニュー分類によるHACCPの考え方

第1グループ(非加熱のもの)

刺身やサラダなど、冷蔵品を冷たいまま提供する料理が該当します。冷蔵庫から出したら速やかに提供することがポイントです。

第2グループ(加熱するもの)

ハンバーグや焼き魚など、冷蔵品を加熱して熱いまま提供する料理です。中心部まで十分に加熱されているかを確認することが求められます。

第3グループ(加熱後冷却するもの)

ポテトサラダやカレーの作り置きなど、加熱調理後に冷却して提供する料理が該当します。危険温度帯をできるだけ短時間で通過させる対応が必要です。

◇衛生管理計画書への反映方法

計画書を作成する際は、一般衛生管理とHACCPのそれぞれについて「いつ」「どのように」管理するか、そして「問題があったときはどう対応するか」を明記します。一般衛生管理が施設全体の衛生レベルを底上げし、HACCPがメニューごとの食品安全を確保するという関係性を意識すると、計画書の構成が整理しやすくなるでしょう。

HACCPの7原則12手順を衛生管理計画書へ反映する方法

HACCPの7原則12手順を衛生管理計画書へ反映する方法

HACCPに基づく衛生管理を実施する大規模事業者の場合、コーデックス委員会が定めた7原則12手順に沿って衛生管理計画を作成する必要があります。この手順を理解し、自社の製造工程にあわせて計画書に落とし込む方法を把握しておきましょう。

12手順のうち、手順1から手順5まではHACCP導入の準備段階にあたります。手順6から手順12までが「7原則」と呼ばれる核心部分であり、衛生管理計画書の中心的な内容です。

◇準備段階となる手順1から手順5

手順1:HACCPチームの編成

製造現場や品質管理の専門知識を持つ担当者など、多角的な視点からチェックできる体制を整えます。

手順2:製品説明書の作成

対象となる製品の特性(原材料や添加物、包装形態、保存方法、消費期限など)を文書化します。

手順3:意図する用途と対象消費者の確認

製品がどのように使用され、誰が消費するのかを明確にします。

手順4:製造工程一覧図の作成

原材料の受入から製品の出荷までの全工程をフローチャートとして作成します。

手順5:製造工程一覧図の現場確認

作成したフローチャートが実際の現場と一致しているかを確認し、必要に応じて修正します。

◇7原則にあたる手順6から手順12

手順6(原則1):危害要因分析の実施

各工程で発生しうる危害要因(生物的、化学的、物理的)を洗い出し、発生可能性と重篤度を評価します。

手順7(原則2):重要管理点(CCP)の決定

危害要因を除去または許容レベルまで低減できる工程を特定します。

手順8(原則3):管理基準の設定

CCPごとに、安全性を確保するための具体的な基準値(温度、時間など)を設定します。

手順9(原則4):モニタリング方法の設定

管理基準が守られているかを監視する方法と頻度を決定します。

手順10(原則5):改善措置の設定

管理基準から逸脱した場合の対応手順をあらかじめ定めておきます。

手順11(原則6):検証手順の設定

HACCPシステムが正しく機能しているかを定期的に確認する方法を決めます。

手順12(原則7):記録と保存方法の設定

すべての手順における記録の作成方法と保存期間を定めます。

これらの手順を順番に進め、各内容を計画書に記載していくことで、HACCPに基づく衛生管理体制を構築できます。

衛生管理計画書を継続的に見直して改善していく流れ

衛生管理計画書は作成したら終わりではありません。計画書を継続的に運用し、定期的な見直しと改善を繰り返すことで、より実効性のある衛生管理体制を構築できます。作成して満足してしまい、形骸化した計画書になってしまうケースは少なくありませんので、運用の流れをしっかりと押さえておきましょう。

HACCPに沿った衛生管理を効果的に活用するためには、「計画の実施」「記録」「振り返り」「改善」というサイクルを回していくことが求められます。

◇日々の実施と記録のポイント

衛生管理計画書に記載した内容に沿って、日常の衛生管理を実施します。実施した内容は必ず記録として残し、気づいたことや異常があった場合はその内容と対処もあわせて記録しておきましょう。記録表は月単位などで整理し、使いやすい場所に保管します。

◇定期的な振り返りの実施

月に1回程度を目安に、記録を確認して問題点がないかを分析します。同じような問題が繰り返し発生している場合は、その原因を特定し、計画書の内容を見直す必要があるでしょう。日頃の実施状況だけでなく、お客様からの苦情や微生物検査の結果なども活用して、現在の衛生管理が適切かどうかを評価してください。

◇計画書の見直しと改善

振り返りの結果、改善が必要と判断された場合は、衛生管理計画書の内容を修正します。工程や設備の変更、新しいメニューの追加があった場合も、計画書を最新の状態に更新しましょう。改訂した際は、施設内への掲示や定期的なミーティングでの共有を通じて、従業員全員に周知することが欠かせません。

衛生管理計画書とHACCPの違いを理解して継続的な運用を実現しよう

衛生管理計画書の作成においては、一般衛生管理とHACCPの違いを正しく理解し、それぞれの役割を計画書に反映させることが求められます。一般衛生管理が施設全体の衛生レベルを支える土台であるのに対し、HACCPは食品ごとの危害要因を除去または低減するための管理です。これらを適切に組み合わせることで効果的な衛生管理体制を構築できます。計画書は作成して終わりではなく、日々の記録と定期的な振り返りを通じて継続的に見直し、改善していくことが欠かせません。

グリーン フード コンサルの代表は、公務員として33年間にわたり3万件以上の食品関係施設を見てきた経験を持っています。さらに、食品加工メーカーでの品質管理部長としての実務経験も活かし、衛生管理計画書の作成から運用までを伴走型で支援しています。計画書が形骸化してしまっている、取引先からの要求にどう応えればよいかわからないといったお悩みにも、課題を一緒に探りながら解決に向けてサポートいたします。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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