食品製造における品質管理の基礎知識から環境づくりや取り組みまでを解説

食品製造業の品質管理で押さえるべき環境整備と具体的な取り組みの基本

食品製造業の品質管理部門に配属されたものの、何から学べばよいのかわからないと感じている方も多いでしょう。品質管理といっても、その範囲は幅広く、環境整備から衛生管理、従業員教育まで多岐にわたります。基礎知識がないまま業務を進めてしまうと、本来押さえるべきポイントを見落としてしまう可能性もあります。

ここでは、食品製造における品質の考え方から、現場で実践すべき環境づくり、品質を維持・向上させるための具体的な取り組みまでを順を追って解説しています。品質管理担当者として最初に身につけておきたい基礎知識を整理していますので、ぜひ最後までご覧ください。

食品製造における品質とは何を指すのか

食品製造における品質とは何を指すのか

食品製造業において「品質」という言葉は、単に見た目や味の良さだけを意味するものではありません。消費者の健康と安全を守り、企業の信頼を維持するために欠かせない要素として、幅広い意味を持っています。

◇食品における品質の3つの要素

食品の品質は、大きく分けて「安全性」「おいしさ」「適正価格」の3つの要素で構成されています。消費者が食品を購入する際には、これらがすべて満たされていることを期待しています。

安全性

食品の品質においてもっとも優先されるべき要素です。食中毒細菌やウイルスによる汚染、異物混入などがないことが求められます。安全性に問題が生じた場合、消費者の健康被害につながるだけでなく、企業の存続にもかかわる重大な事態を招く可能性があります。

おいしさ

味や食感、香り、見た目など、消費者が「また購入したい」と感じる要素です。製品ごとにばらつきがなく、常に一定の水準を保つことが信頼されるブランドづくりには欠かせません。

適正価格

品質に見合った価格設定がされていることも、消費者にとって大切な判断基準となります。高品質であっても価格が見合わなければ継続的な購入にはつながりません。

◇品質管理が担う役割

品質管理とは、これらの要素を一定の水準で維持し、問題が発生した場合には速やかに原因を特定して改善する活動を指します。原材料の受け入れから製造工程、出荷に至るまで、すべての段階で適切な管理が求められます。業務には製造環境のモニタリングや原材料のチェック、完成品の検査などが含まれ、品質を維持・向上させるための体制づくり全体を担っています。

◇品質管理と品質検査の違い

品質管理と品質検査は混同されやすいですが、その役割は異なります。品質検査は製品が規格に適合しているかを確認する作業であり、品質管理を構成する要素のひとつです。品質管理はより広い概念であり、「なぜ問題が発生したのか」を分析し、未然に防ぐための予防的な活動も含んでいます。

安心安全な食品製造のための環境づくりで行うべきこと

安心安全な食品製造のための環境づくりで行うべきこと

食品製造において安全な製品を提供するためには、製造現場の環境を整えることが基本となります。どれだけ優れた原材料を使用していても、製造環境に問題があれば異物混入や細菌汚染などのリスクが高まります。

◇5Sと7Sによる環境整備の基本

食品工場の環境を清潔に保つための基本として、5S活動があります。5Sとは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の頭文字を取ったもので、職場環境を整えるための基本的な考え方です。

整理と整頓

必要なものと不要なものを区別し、要らないものは撤去します。不要なものが放置されていると清掃が行き届かず、害虫やねずみの潜伏場所にもなりかねません。ものの定位置化や表示による整頓で、作業効率の向上にもつながります。

清掃と清潔

清掃作業をルール化し、定期的な点検を実施することで施設内の清潔感を維持します。食品工場では細菌やウイルスへの対策も求められるため、5Sに「洗浄」と「殺菌」を加えた7Sによる衛生管理が推奨されています。

しつけ

決められたルールを全従業員が守れるよう、継続的な教育と意識づけを行います。正式な従業員だけでなく、アルバイトやパートを含めた全員が対象です。

◇一般衛生管理の確立

HACCPを効果的に運用するためには、5S活動に加えて一般衛生管理を確立させることが前提となります。具体的には、施設や設備の衛生状態の維持、従業員の健康管理、原材料の適切な保管などが含まれます。これらの基本が徹底されていなければ、高度な管理システムを導入しても効果は限定的です。

◇現場への浸透が成功のポイント

環境づくりを成功させるためには、現場で働く従業員への浸透が欠かせません。記録作業のデジタル化や、衛生管理内容のステッカー掲示など、わかりやすく継続しやすい仕組みを整えることが効果的です。責任者が率先して働きかけ、全員が同じ目標に向かう姿勢を築くことが、安心安全な製造環境の実現につながります。

品質管理を維持し向上させるための具体的な取り組みとポイント

食品製造の現場では、品質を一定の水準で保つだけでなく、継続的に改善していく姿勢が求められます。品質管理の取り組みは整えれば終わりではなく、日々の業務の中で見直しと改善を繰り返すことで、より高い水準を目指していくものです。

◇PDCAサイクルによる継続的な改善

品質管理を効果的に行うためには、PDCAサイクルの考え方が基本となります。PDCAとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(確認)」「Action(改善)」の頭文字を取ったもので、この流れを繰り返すことで品質の維持・向上を図ります。改善を実施した後は必ず効果を検証し、必要に応じて見直しを行うことが大切です。

◇衛生管理計画の作成と運用

2021年6月からすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務化されています。衛生管理計画を作成し、その計画に基づいて日々の管理を実施することが求められます。計画や手順書は作成して終わりではなく、定期的に内容を見直し、現場の実態に合わせて更新していくことが必要です。

◇従業員への衛生教育

品質管理の取り組みを現場に浸透させるためには、従業員への教育が欠かせません。衛生教育は一方的に知識を伝えるだけでなく、現場の課題を共有しながら一緒に考えていくアプローチが効果的です。従業員が「なぜこの作業が必要なのか」を理解することで、ルールの遵守率も高まります。

◇定期的な点検と記録の管理

製造現場の衛生状態を維持するためには、定期的な点検と記録の管理が必要です。製造機械や作業台などの拭き取り検査を実施し、問題が検出された場合は速やかに是正措置を講じます。記録を適切に残しておくことで、問題発生時の原因追究にも役立てられます。

食品製造の品質管理についてのまとめとご相談のご案内

食品製造における品質管理とは、安全性やおいしさ、適正価格といった消費者の期待に応えるための総合的な活動です。その実現には、5Sによる環境整備や一般衛生管理の確立、HACCPに沿った衛生管理計画の運用が欠かせません。そして従業員への継続的な教育も大切な要素です。これらの取り組みをPDCAサイクルに基づいて継続的に改善していくことで、品質の維持・向上を図れます。

グリーン フード コンサルでは、公務員として約33年間で3万件以上の食品関係施設に携わってきた経験を活かし、衛生管理計画の作成から運用支援まで幅広くサポートしています。従業員教育や施設の衛生点検にも対応可能です。形骸化した計画書の見直しや、クレームが減らないといった課題にも、原因を一緒に探りながら解決を目指す伴走型の支援を行っています。初回相談は無料ですので、品質管理や衛生管理でお困りのことがあればお気軽にご相談ください。

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