2025年のO157食中毒事例から学ぶ食品安全

2026年も続く腸管出血性大腸菌への警戒

2025年、加熱不十分なハンバーグが原因とみられる大規模な腸管出血性大腸菌O157食中毒が発生しました。さらに2026年に入っても各自治体では腸管出血性大腸菌感染症に対する注意喚起が行われており、食品事業者には引き続き徹底した衛生管理が求められています。

食中毒は一度発生すると、健康被害だけでなく、事業者の信用失墜や営業停止、商品回収など深刻な影響を及ぼします。今回は2025年の実際の食中毒事例を振り返りながら、食品事業者が取り組むべき対策について解説します。

100人を超える患者が発生したハンバーグによるO157食中毒事例

国立健康機器管理研究機構の報告によると、2025年9月島根県内の飲食店で提供されたハンバーグを原因とする腸管出血性大腸菌O157食中毒が発生しました。

この事例では、当該期間中にハンバーグを喫食した1,128人のうち102人が腹痛や下痢などの症状を呈し、複数の患者が入院する事態となりました。調査の結果、原因は加熱が不十分なハンバーグである可能性が高いとされています。

ハンバーグはひき肉を使用しているため、食肉の表面に存在する細菌が内部まで混入している可能性があります。そのため、ステーキのような一枚肉以上に加熱が必要です。

腸管出血性大腸菌の恐ろしさとは

腸管出血性大腸菌は、ごく少量の菌でも感染することが知られています。

主な症状は、激しい腹痛、下痢、血便、発熱などです。

また、特徴としてベロ毒素を産生することから、特に乳幼児や高齢者では重症化しやすく、溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症すると腎障害や神経症状を引き起こし、生命に関わる場合もあります。

2026年も続く警戒

2026年に入ってからも、各自治体は腸管出血性大腸菌感染症への警戒を強めています。感染者数の増加を受けて注意報を発令する自治体もあり、食品の十分な加熱や手洗いの徹底が呼びかけられています。

また、2026年6月には愛知県内で販売された総菜を原因とするO157食中毒事件も報じられ、肉を使用した食品だけでなく、生野菜を使用したそうざいにおいても衛生管理の重要性が改めて認識されました。

食品事業者が再確認したい3つのポイント

1.中心部まで確実に加熱する

腸管出血性大腸菌は加熱により死滅します。

ハンバーグやメンチカツなどのひき肉製品は、中心温度75℃1分以上を目安に十分な加熱を行いましょう。

2.二次汚染を防止する

生肉を扱った調理器具や手指から、サラダやそうざいへ菌が移るケースもあります。また、感染している調理従事者から食品が汚染されるケースもあります。

  • 調理従事者の健康管理
  • 手洗いの徹底
  • 器具の洗浄・消毒
  • 生肉と加熱済み食品の区分け管理

を徹底することが重要です。

3.HACCPに基づく衛生管理を行う

現在、すべての食品事業者に「HACCPに沿った衛生管理」が求められています。

HACCPとは、原材料の受入~調理~提供までの各工程について危害要因の分析を行い、必要な衛生管理を行うこと、特に最終製品を安全に提供するために重要と考えられる工程を「重要管理点」と定めて、重点的に管理する衛生管理方法です。

この事件の場合、ひき肉を原料としていることから、腸管出血性大腸菌等の食中毒細菌が全体に付着している可能性があることは容易に推測されます。

では、安全な製品をお客様に提供するにはどうしたら良いでしょうか?

食肉に付着している食中毒細菌を殺すこと!つまり加熱調理することです。

ステーキなどの一枚肉では食中毒細菌が表面にだけ付着している可能性が考えられますが、ひき肉の場合は全体的に汚染されている可能性が高く、中心部まで十分に加熱する必要があります。

しかし、原因となった店舗では、お客様の要望によりミディアム、レアなど不十分な加熱の状態の製品を提供していたということです。

正しい食品衛生の知識を持ち、HACCPに沿った衛生管理をしていれば、このような調理工程では食中毒が発生する危険性が高いことは容易に想定でき、中心部まで75℃1分以上加熱することで食中毒の発生を防止することができました。

当事務所では、HACCPの構築~運用まで、施設の規模や特性にあったサポートを行います。

ぜひ一度ご相談ください。